このブログでは、主に性同一性障害に関連する私自身の思いや活動の内容を書いています。
厚生労働省官僚との会談 報告
遅くなりましたが、8月30日に行った厚生労働省(一部経経済産業省)官僚との会談の内容をまとめておきます。
こうやって概要だけを抜き出すと全然進んでいないように感じられますが、実際は2時間みっちりとお話しをし、迫真のやりとりがありました。ここに書けない裏事情などもあり、厚労省側も理解がかなり進み、好意的であるようにも感じられています。


開催日時2017年8月30日(水曜)  16時〜18時
会場参議院議員会館 B1 B105会議室
出席者谷合正明(参議院議員 農林水産省副大臣)
太田純一郎(日本精神神経科学)、中塚幹也(GID学会、日本産婦人科学会)、
難波雄三郎(日本形成外科学会)、市原浩司(日本泌尿器科学会)、山本 蘭、砂川 雅
経済産業省官僚1名、厚生労働省官僚11名

Q1.JIS履歴書からの性別欄削除について。

A1.(経産省より)
JISに履歴書の記載はあるが、履歴書そのもののフォーマットは無い。確かに履歴書は男・女どちらかに○を付けるようになっているが、これは日本規格協会が担当なので今回の要望を伝えた。
現在、政府が女性活躍社会やポジティブアクション等、経済界のニーズがある。それ故、一方の意見を聞いて決めることで無く、時代の要請を受け、慎重な議論が必要かと思われる。

Q2.高校統一応募用紙からの性別欄削除について。

A2.
高校統一応募用紙は厚労省だけの管轄では無く、文科省や全国高等学校長協会の3者で決めている。また、決める際には経済団体に意見を聴取し、関係者と協議していきたい。
ただ、女性活躍社会やポジティブアクション等にて性別欄削除について話し合いを持たなければならないので、いつまでにこれをすると断言出来ない。

Q3.ハローワークにおける就職申込用紙の性別欄削除について。

A3.
一部例外的な物になるが、警備や守衛等、一方の性別に限定する必要がある為、性別欄を削除する事は困難。
ただ本人への配慮ということで、「性別を記入しなくても良い」と明記した上で、実際記入せずに申し込みした場合は書かせないという形で取り扱って貰う。

R1〜3.
JIS履歴書、高校統一応募用紙、求職票のいずれも性別欄が上の方にある。性別が必要な職種に就く人以外は必要ないので、下の方に小さく性別欄を作る、「性別が必要な職種に応募する人は記載してください」などの注釈をつけるなどの形を含めて検討して頂きたい。

Q4.就労環境の改善について。

A4.
現在、性同一性障害当事者の配慮について事例を収集している。
今後、事業主に向けて周知啓発を行って行くことを検討している。性同一性障害に対する理解の背景として、セクハラ・パワハラに繋がる事もある。セクハラ・パワハラ防止対策の中で、企業主に対し必要な啓発を継続して行っている。
また、全国の厚労局や労働基準局に相談窓口を設置し、労働者や事業主からのあらゆる労働問題に相談対応している。この中で性同一性障害の方からの労働相談に対する対応もしている。
セクハラ指針で性同一性障害の人が守れるかだが、アウティングは、単に性同一性障害ということを伝えただけでは性的な嫌がらせとは言いづらい。
カミングアウトの強要については、強要の仕方によって異なる。元々そうなんだろ?みたいな性的な発言を混ぜて強要する場合は指針の対象になる。単なるカミングアウトの強要ではセクハラとまでは言えない。

R4.
現在のセクハラ指針では、性同一性障害の当事者を守る事ができないと感じる。アウティング問題・カミングアウト強要問題を含め、セクハラ指針とは別に新たな指針作りを求めたい。

Q5.健康保険被保険者証の通名表記および性別表記について。

A5.
国民健康保険、又は後期高齢者医療制度の被保険者証の交付は、各市町村や広域連合で行われている。被保険者証については従来から保険者の判断に委ねられている。現状として、全ての事業所で統一してというところが難しい。
また、戸籍上の性別とは異なる性別を記載した場合、医療機関などで保険者証の性別の表明の性別をそのままカルテなどに記載されてしまう可能性があるためや、また性別に特有の疾病や病気への診療に影響を及ぼす可能性があるため、要望に応える事は難しい。

R5.
「そうすることが望ましい」「なるべくこうしてください」のように表現を工夫できないか。
また、保険証に性別欄自体必要ないのではないか。

Q6.身体的治療への保険適用の実現を。そのために認定医制度も作った。

A6.
健康保険適応するには、最終的には中医協で承認を受ける事が必要。手術に関しては技術という評価項目になるので、新技術、これは術式が全く新しいということ、術式自体はあるけれども疾患の適応になっていないものを適応拡大する事も新技術となる。新技術に関しては、医療技術評価分科会で議論し、中医協総会において承認を受けるもの。
30年診療改定においては、手術に関しては、従来通り形成外科学会から性別適合手術に関する要望が出ている。
(注 日本形成外科学会から提出されている要望は、「乳房縮小術」と「陰茎再建術(皮弁による尿道再建を伴うもの)」の2つ)
前回の平成28年度の診療報酬改定において、最終的な結果としては医学的な有用性が十分に無いとの評価となって、保険適応にはならないこということになった。
今回提案頂いている提案書は、前回から内容が変わっていない。
有用性を出すためには、ちゃんとやっているところを見せる。前に進むには、客観的なエビデンスが必要。
エビデンスにQOLを用いることは、それをエビデンスで表せる術式や資料もあるのでおかしくない。数に関しては、「数である」と私からは言えない。医療技術評価に置ける評価を収集されることだ。
他の手術、適応拡大に関して、医療技術の提案書の中に含めなかった理由は何か?
単一の学会で複数の要望書を提出するところもあり、実際に10や20の要望書を提出するところもある。
俎上に載せてもらうと我々も判断ができるが、俎上に上がっていないものに関しては難しい。
学会の事に関しては承ったし、実際に医療技術に載せていくには認定施設・認定医制度は絶対に評価される。それが努力していることに関しては、プラスであると思う。これに加えこうすればという事は、私はこの場で答えられない。
今日の要望も踏まえて30年の診療報酬改定に向けて検討していくので、引き続き医療課、最終的には中医協だが持ち帰り検討させて頂く。

Q7.ホルモン療法の保険適用について。

A7.
性別適合手術がもし保険適応されることがあれば、ホルモンはそれに伴い、評価していくものだと認識している。
手術後についてはもちろんだが、手術が保険適応なる際はその前段階も行なわざるおえない。勿論、保険適応になるという事は適正な治療であるとみたされることなので、医学的・客観的に受け入れられる。(手術を前提としないホルモン療法についても健康保険適用が可能かどうかについては答えが曖昧)
また、現時点でということになると、未承認薬検討会議というものがあり、そういう所に出すと専門ワーキングで医学的な有用性・安全性を確認することができる。その場合は、エビデンスというか使用実態ということが論文にあればそういうデーターが活きる。

Q8.医療の地域格差を無くし、治療可能な医療機関を増やして欲しい。

A8.
性同一性障害に悩んでいる方々について、相談しやすい環境を整備するということが重要だと考えている。そこで都道府県の主管課長会議を開いた。そこで性同一性障害の相談対応について、更に拡充を図ろうと思うところだ。また、引き続きホームページにて普及啓発をしているところである。
医療機関のほうが都道府県と相談をし、それを踏まえて医療の提供が適切になされるようにということであって、厚労省としてはその取組について注視して行くところと回答させて頂く。

Aまとめ.
こういう場もあったことだし、これまでもあったかも知れないが、議論が成熟してきているということはあると思う。こういう機会も踏まえ、改めて頂いた要望も踏まえ進むので、これも一つの過程として取らせて頂く。
| ran-yamamoto | 政治 | 18:36 | - | - |
被保険者証の氏名表記について
厚生労働省が健康保険の被保険者証の氏名表記につき、通称名表記を可能とする通知を出しています。
通知書を入手致しましたので、ここに公開しておきます。
http://rany.jp/document/government/mhlw-2017-08-31.pdf

この通知で、被保険者証に通称名を記載することが可能となりました。

ただ、いくつか問題があります。
まずは、「保険者やむ得ないと判断た場合 名の記載を希望する旨申し出があり、保険者やむ得ないと判断た場合には、被保険者証における氏名の表記方法を工夫しても差し支えない。」の部分。

ここで言う保険者とは、被保険者証を発行している元のことです。国民健康保険だと市区町村ですし、企業だと協会けんぽとか保険組合がこれにあたります。
通称名使用はこの保険者がそれを行うかどうかを判断することになっています。つまり、保険者がダメと言えば変更できないことになるわけです。

実は、この通称名の前にも、性別欄を裏面記載にできるという通知がありました。これも同様に保険者の判断に任されていたのですが、実際裏面記載を実施している保険者は多くありません。
このあたり、厚生労働省と会談をもった際に強制できないのかと問うたのですが、そうした権限は無いそうです。

次に「裏面を含む被保険者証 全体として、戸籍上の氏名を確認できるようにすること。」の部分。
結局戸籍名をどこかに書くのであれば、GID当事者の精神的負担軽減に本当になるのか自体が何とも言えません。被保険者証みるだけで性同一性障害の当事者であることがバレバレになってしまう恐れもあるわけです。

それに戸籍名を裏面に書くとしても、そのようなスペースがあるのかという問題があります。複数ページになっているようなタイプだと可能でしょうが、カード型だと難しいですね。特にプラスティックカードだと、何か書くことを想定していないものもあります。
そうなるとカードの素材変更とかシステムの改修とか大がかりな話になってしまいます。保険者によっては物理的あるいは改修の時間的・金銭的にすぐには対応できないと言わてしまうこともありそうです。

さらに、性同一性障害としての診断書が必要なのは当然として、「通称名が社会生活上日常的に用いられていることを確認できる添付書類」も求めています。なので、通称名使用の実績の無い人はすぐには無理です。
これ、もうほぼ改名の時に必要な手続きと同様ですよね。それなら裏面に戸籍名記載とかややこしいことをされずに済む改名手続きをしてしまった方が良いのではないかとすら思えてきます。

とはいえ、厚生労働省としてもこのあたりが精一杯の妥協点でしょうか。まぁ、戸籍の性別・氏名一辺倒だった頃からに比べれば、対応がかなり進んだとも言えます。
何より、性同一性障害についていろいろな問題があり、国として対応が必要であると認識していることは評価できるのではないかと思いますし、こうした対応が更に拡大していくことを望みます。

ところで、この通知でちょっとびっくりしたのは診療報酬請求は戸籍上の氏名では無く「表面に記載された氏名で行う」となっていること。つまり表面に記載されている氏名が通称名であればそれで行うということです。

今まで行政は「住民基本台帳に記載されている氏名・性別との一体運用が必要」という立場だったのですが、それが崩れたことになります。
なんだ、やればれきるんだ。それなら性別欄だってできるでしょうし、戸籍上の氏名や性別を書く必要もないんじゃないかと思えます。
これは、今後のいろいろな要望に使えそうです。次回厚労省官僚と会談する際には、この点をつっこんでみたいと思います。
| ran-yamamoto | 政治 | 20:04 | - | - |
カナダがパスポートの性別欄に「X」の使用を認める
2009年西村外務政務官との面会
※写真は、2009年外務省で西村政務官(当時)と面会し、要望書をお渡しした時のものです。

カナダがパスポート(旅券)の性別表記にXを認めることになったという記事が出ていました。

カナダ、公的書類に第3の性の選択肢「X」容認へ(AFP)

パスポートのフォーマットは国連の専門機関である国際民間航空機関(ICAO)で決められているのですが、性別記載については元々M/F/Xの表記が許容されており、今に始まったことではありません。オーストラリアやニュージーランドでは20年以上前から実施されています。
それどころか、アメリカを始め戸籍や出生証明書の性別とは異なる性を登録できる国も多数あります。日本だけがかたくなに遅れているんですよね。

性別変更をまだ行っていない、あるいはできない性同一性障害の当事者は、旅券に書かれた性別と本人の容姿が異なることで入出国のイミグレーションで疑われ、場合によっては入国できないこともありえます。ホテルのチェックインやクレジットカード、トラベラーズチェックの使用と言った場合にもパスポートの提示を求められ、無用なトラブルに巻き込まれる可能性があります。更には、ヘイトクライム(憎悪犯罪)により、身の危険にさらされる可能性さえ無くはありません。

旅券の最初のページには「日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。」とあります。しかし性同一性障害の当事者が旅券を保持して旅行することは、逆に本人を危険にさらすことにもなりかねないのです。

実は2009年、まだ民主党政権だったころ当時の外務省西村政務官と面会し、旅券の性別欄につき削除または本人の自認する性別、あるいはXの記載ができないか要望したことがあります。

面談には政務官だけでなく領事部旅券課の官僚の方も同席され、同省の考えも聞かせてもらえました。
それによれば、

  • パスポートにおける記載事項は、国際民間航空機関によってその体裁や記載事項が規定されているため、日本独自の判断で性別欄を削除することはできない。
  • 現在性別の記載は、旅券法施行規則第1条6項により規定されている。
    本記載においては、戸籍謄本または抄本を本人を公証する手段として提出が定められており、それを唯一の根拠として記載を行っているので、戸籍に記載されている以外の表記とすることはできない。
  • 従って、性同一性障害を有する者に対して、戸籍に記載されている表記以外の表記とするためには、それを可能とする根拠が必要。つまり解釈ではなく、何らかの法律が整備される必要がある。
  • 性別の扱いについて、外務省だけが突出することはできない。政権全体として考えていくべき課題。

ということでした。
つまり外務省としてはやりたくでもできないというように聞こえます。まぁ、半分は言い訳かもしれませんが。

しかし、言い分は理解しました。
確かに性別をどう扱うのか、というのは政府として、国全体として考えるべき課題です。
私は、現在の性同一性省が特例法は廃止して、「性同一性障害基本法」というようなものを作りたいと考えています。
この法律に差別や不利益の解消などを含め、性別変更や性別についてどう扱うかを規定するわけです。その中で性別変更していない人に対する扱いも決めておきます。
そうなれば、旅券の性別だけでなく、マイナンバーや健康保険証の性別など様々な問題が解決に向けて進むでしょう。
なんとかまだ動ける内に、そうした流れを作れれば良いのですが。

| ran-yamamoto | 政治 | 20:10 | - | - |
前川喜平前文部科学事務次官の思い出
2013年文科省要望書提出1

2013年文科省要望書提出2

加計学園の問題ですっかり有名?になった前川喜平前文部科学事務次官ですが、実はお会いしたことがあります。氏がまだ初等中等教育局長だった2013年の11月、要望書をお渡しし、性同一性障害の問題について施策の実現をお願いした時のことです。
この時、お渡しした 要望書 はこちら。
また、後日いただいた 返答 はこちらです。
実態調査の実施、有識者による検討委員会の実施、指針の策定、ガイドブックの作成などが盛り込まれています。

要望してからすぐ、翌年1月には全国調査が実現、それを受けて検討委員会が設置され、翌年の「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」の通知が行われ、ガイドブックの作成につながっていきました。

前川氏がこの一連の施策の実現にどれだけ関与されたのかはわかりません。ただ、その後のご発言などを鑑みると、一定の影響力があったことは間違いないところでしょう。
実際、15年間政治家や官公庁に対するロビー活動をやってきましたが、官僚のトップとお会いできたのはこれが最初で最後でした。

ある意味、儀礼的な意味合いが強い大臣との面会より、官僚のトップと会った方が施策の実現には早いのかもしれません。もちとんその方がこの問題に関心を持ってくれていればの話ですが。

前川氏には要望の最後に「LGBTと性同一性障害を一括りにするような施策を行わないでください。」とのお願いもしたのですが、「それが多様性を尊重するということですよね。」と笑っておられたのが印象的でした。
| ran-yamamoto | 政治 | 15:14 | - | - |
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