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性同一性障害の手術療法に対する健康保険適用に関する制限事項
前のエントリーでも触れたように、3月5日に性同一性障害の手術療法に対する健康保険の適用が正式に公示されましたが、今回の健康保険適用には以下のような制約があります。

1.一定の基準を満たした認定医療機関でのみの適用となること。
2.ホルモン療法を併用している場合には、混合診療にあたり健康保険が適用されないこと。

本件に関する 厚生労働省からの文章 を入手しておりますので、公開しておきます。

まず施設基準ですが以下になります。
(1) 形成外科、泌尿器科又は産婦人科を標榜する病床を有する病院であること。
(2) 当該保険医療機関に関連学会が認定する常勤又は非常勤の医師が1名以上配置されていること。
(3) 当該保険医療機関において、医科点数表第2章第10部手術の通則4 (性同一性障害の患者に対して行うものに限る。)に掲げる手術を合わせて20例以上実施していること。ただし、当該保険医療機関において、形成外科、泌尿器科又は産婦人科について5年以上の経験を有し当該手術を合わせて20例以上実施した経験を有する関連学会が認定する常勤の医師が1名以上配置されている場合は、この限りではない。
(4) 関連学会のガイドラインを遵守していること。
(5) 当該手術を実施する患者について、関連学会と連携の上、手術適応等の治療方針の決定及び術後の管理等を行っていること。

施設が「病院」に限定されたことにより、診療所(いわゆるクリニックなど)は対象から外れます。
病院とは法律用語でベッド数20床以上で医師や看護師の数にも基準があります。
これは元々日本精神神経学会が定めたガイドラインに、「手術を行う場合は入院可能な施設を有していること」という規定が有り、それを踏まえたものになります。
もちろん診療所の一部には入院可能な施設もあり、これについては最後まで協議が続いていましたが、最終的には初めての保険適用ということもあり安心・安全を優先するということになったようです。
ただ、認定医は常勤でなくても良いことになりました。これによって大学の医師が非常勤でで行っているような提携病院でも認定基準を満たすことになります。

この規定により、当初認定される医療機関は札幌医科大学病院、山梨大学附属病院、岡山大学病院、(ひょっとすると埼玉医科大学病院)と、その関連病院の4〜5施設に限定されることになる見込みです。
確かに現状ではこの数は非常に少ないと言えます。が、元々入院設備のないクリニックでの手術は学会でも危険視されており、そのためガイドラインが改訂された経緯もあります。
医療保険の性質上、安心・安全な医療を担保するという意味では、当然とも言えるでしょうし、逆にこれによって危険な手術を行っている医療機関が淘汰されるのは、当事者にとってメリットも大きいと言えます。
もちろん上記の他にも沖縄中部病院などはまもなく認定されるようですし、逆に保険適用になれば開始したいという大学病院もいくつかあるようです。今後、次第に充実していくことを期待したいと思います。

さて当事者のみなさんにとっては、ホルモン療法を行っている場合は、混合診療になり保険適用されないという件の方が大きな問題でしょう。
この件については長くなるため、記事を分けたいと思います。
| ran-yamamoto | 性同一性障害 | 23:04 | - | - |
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