このブログでは、主に性同一性障害に関連する私自身の思いや活動の内容を書いています。

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GID学会体制改革の提言
まもなくGID学会の研究大会が開催されますが、それに合わせて総会も開催されます。
昨年の総会でも紛糾しましたが、現在のGID学会の運営体制は不備が多すぎて、本来なら運営できないほどのレベルです。
GID学会は、今回の手術療法に対する健康保険適用で存在感を示しました。特に認定医や認定医療機関の選定など、社会的影響力も強くなってきていると言えます。しかるに現状の体制は、それに満足に答えることができない状況です。

特に会則の不備は深刻で、本来なら「何も決められない」状態だと言っても過言ではありません。
このままでは、認定医や認定医療機関など重要な問題についてもその根拠を喪失しかねません。
早急な改革(特に会則の変更)が必要であると思うのですが、なかなか腰が重いようです。

総会で議案を出そうと考えていましたが、健康保険関連、認定医・認定医療機関についての承認などの作業もあり時間もないことから見送って欲しい旨要望されてしまいました。
そのため今回は提出致しませんが、今後に向け議論を始めていただく旨はお約束いただきました。
このブログを読まれている方の中にもGID学会の会員の方がいらっしゃるかと思います。ぜひ、一緒に考えていただければと思います。


さて、一番大きな問題点は、会則の不備です。
学会の会則については、こちら の学会HPをご覧ください。
まず会則には、理事の役割・権限について十分な記載がありません。現在会則上で理事会の機能としてあげられているのは以下です。
(会員、名誉会員)
第5条 会員は本会の目的に賛同するもので、名誉会員、正会員(GID 研究者)、準会員(一般)、 賛助会員(個人、法人)からなる。ただし個人のプライバシーを守れるものとする。名誉会員は 本会に著明な貢献のあった会員で、本人の同意を得て、理事長が推薦し、理事会で決定する。

(会員資格の喪失)
第7条 会員は次の理由により理事会の議を経て、その資格を喪失する。
1.退会した場合
2.本会の名誉を著しく傷つけた場合

(理事長、会長、副会長、次期副会長)
第10条 理事長は学会の代表として、継続的に会の運営を統括する。会長は年1回の研究大会を 主催する。副会長は次期会長であり会長を補佐し、会長に事故あるときはその職務を代行する。 次期副会長は、理事会で選出し、総会の承認を受けるものとする。

(会則の変更)
第16条 本会則の変更は、理事会で審議し、総会の承認を受けるものとする。

つまり理事会の機能として明文化されているのは

第5条 名誉会員の決定
第7条 会員資格の喪失の決定
第10条 研究大会次期副会長の選出
第16条 会則の変更の審議


の4つだけということになります。これ以外の機能・権限は理事会にはありません。

一方、例えばgid.jp の定款では理事会の機能・権限につき以下のように定めています。

第29条 理事会は、次の職務を行う。
(1)当法人の業務執行の決定
(2)理事の職務の執行の監督
(3)代表及び副代表の選定及び解職

このように、「業務執行の決定」という文言が入っていれば、様々なことを理事で決定することができます。
しかし、この条文が入っていない以上、GID学会では先に書いた4項目以外の内容を理事会で議論したり意思決定したりは本来できません。

従って、昨年の総会で問題となった「特例法の手術無し要件に対する決議」も、理事会にそのようなことを決める権限や機能がない以上、決議したということ自体が無効ということになります。
なんだか一部の理事の方が講演などでこうした決定がなされたと吹聴されているようですが、そうしたことは現に慎んで頂きたいものです。
更には、今回決めるであろう認定医や認定医療機関も、本当は理事会にこれを決める権限も機能もないということになってしまいます。
ついでに言うと、理事長を決める権限も無いんですよね。おやおや。

では、その条文を付加すればそれでいいのか、というとそう簡単にはいきません。
「業務執行の決定」というような重要な項目を理事に委任するためには、その前提として理事の正当性・妥当性・信頼性・選出の公平性がなどが担保されている必要があると考えます。
そのためには、少なくとも理事の任期制・定員制と選挙制の導入が不可欠でしょう。

現在のGID学会の理事の数はなんと32名にも達します。名簿は こちら です。
この人数、もっと大組織である日本精神神経学会が20名であることをみても、いかに多いかがわかります。
名簿を見ていただくとわかりますが、ここ数年学会で一度もお見かけしていない人や、すでに診療や研究に携わっていらっしゃらない方も含まれています。
学会の理事は名誉職ではありません。実際に学会の運営に携わらなければならない人たちです。にもかかわらず、学会の運営を担っている方は理事長とごく限られた方しかいらっしゃらないようです。これでは、まともな活動ができるわけがありません。
実は伝え聞くところでは、学会の改革に現理事の人は積極的では無いとのこと。その理由が自分が理事で無くなってしまうからだとか。これ、本当なら言語道断と言わざる得ません。

ところで、実は会則には会員総会の機能についても以下しか規定されていません。
(理事長、会長、副会長、次期副会長)
第 10 条 理事長は学会の代表として、継続的に会の運営を統括する。会長は年1回の研究大会を 主催する。副会長は次期会長であり会長を補佐し、会長に事故あるときはその職務を代行する。 次期副会長は、理事会で選出し、総会の承認を受けるものとする。

(監事)
第11条 監事は理事会において選出し、総会で承認を受けるものとする。監事は本会の事業、会計、資産を監査する。

(総会)
第13条 総会は年1回の研究大会時に開催し、次期副会長、翌年度研究大会の開催時期、開催地の承認を行う

(会則の変更)
第16条 本会則の変更は、理事会で審議し、総会の承認を受けるものとする。

つまり
第10条 次期副会長の承認
第11条 監事の承認
第13条 次期副会長、翌年度研究大会の開催時期、開催地 の承認
第16条 会則の変更の承認

の4つだけです。あらあらそうなると、総会にも議決権は無いのかとなりそうですね。理事会でも総会でも決められないのであれば困ってしまいます。

が、実際はそうはなりません。
というのは、民主主義の一般論として会の運営は会員の意思決定によって行われるものであり、それを確認する手段は会員総会しか現状ないからです。
そのため、会員総会には「普遍的に」意思決定権が付与されているとみなすのが法的解釈といえるでしょう。
このあたりが、意思決定の権限を一部委譲することになる理事会とは違うところです。

意思決定という意味では、その他にも理事会・総会共に成立するための出席要件や決議の票数なども規定されていません。それがないと、現状だと例えば会員一人の出席でも議決が成立することになってしまいます。

さて、会則と共に学会のもう一つの大きな問題点は、実務を行う人がいないことです。
中塚理事長もぼやいておられましたが、学会に関する業務はほぼ理事長一人がこなされているようです。32名もいる理事さんに専門委員を割り当てたけれど、実際には何も動いていないのだとか。
まぁ。これはgid.jpでも同じでしたけれどね。。。。
しかし、理事長に非常に負担がかかっているのは事実です。中塚先生に何かあれば、何も動かなくなってしまいます。

これは、本来学会の業務を担う専門の職員がいないことが要因でしょう。そうした人が一人でもいれば、実務はその人に任せることができます。
とはいうものの、職員を雇うためには先立つものが必要です。
これはもう会費の値上げしかありません。現在の学会の会費はたった2000円。医学系の学会であれば1万2万は当たり前ということを考えれば、破格とも言えます。この金額では人を雇うなどということは全く無理というものです。

これは当事者が入りやすいようにという配慮から安く設定されているという話もあるのですが、元々学会の規定では医療者や研究者が正会員、当事者など一般が準会員という区分が存在しています。それを利用して会費を分けるという方法も考えられるでしょう。
とにかく実務体制を早急に整えないと、今後増えてくる認定医や認定医療機関の審査や管理、あるいは手術後の患者のフォローなどに影響が出るであろう事は必至です。なんとかして運営費を集める方法を考えないといけません。

というわけで、あまりに不備が多すぎます。非常にまずい状況と言わざるをえません。
まずは、理事の権限の規定や定数、理事の公選制の導入、会費の検討などが必要ですが、最終的には学会そのものを社団法人化することを前提に、一般社団法人法に準拠した定款の制定が必要でしょう。
今回の研究大会で20周年ですから、いいかげんいつまでも仲良しクラブではなく変わらなければならない時期に来ていまず。
今後のためにも、そしてなにより自分たち当事者のために、一刻も早く学会の機能が正常化されることを望みます。
| ran-yamamoto | 性同一性障害 | 17:58 | - | - |
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