このブログでは、主に性同一性障害に関連する私自身の思いや活動の内容を書いています。

戸籍の性別の取扱い変更後のホルモン療法は、性同一性障害の治療としてでなければ保険適用で問題ない
昨日16日、先日お伝えした「性別の取扱いの変更後のホルモン療法に対する健康保険適用にNGが出る」件につき、厚生労働省官僚と話し合ってきました。
その時の内容を以下に記しておきます。
  1. 性同一性障害に対するホルモン療法は、薬事承認を得ていないことから健康保険の適用外である。これは従前から変わっていない。
  2. 本年3月30日に発出した「疑義解釈資料の送付について(その1)」の問199では、同一の疾病に対する一連の治療として、保険適用外の治療と保険適用の治療を組み合わせて行うことは認められない、という保険診療の大原則を示したものである。
    これは、戸籍変更後のホルモン療法に関して言及したものではないし、この疑義解釈資料で新たにホルモン療法を保険適用外としたわけではない。
  3. 個別のケースの取扱いについてはそれぞれに事情があり、最終的には手術や戸籍変更の有無にかかわらず各医療機関や審査支払機関で個別の判断があり得る。それぞれの個別のケースについて厚生労働省が逐次指示や判断する立場にはない。
  4. 性別適合手術後のホルモン療法に関しては、担当医師が性腺除去によるホルモン不足を補うための治療として投与することはありうると承知している。
  5. 今回のケースは、元々保険適用と判断されていたものが今後は適用外とされたわけだが、その理由は不明である。審査支払機関から疑義照会があれば、適切に対応したい。
ということです。
ちょっとわかりにくいですが、要は病名が「性同一性障害」であれば、戸籍変更していても健康保険は適用されないけれども「卵巣機能不全」や「男性性腺機能不全」等ホルモン製剤が薬事承認を得ている病名であればば健康保険適用として問題ないということです。
打合せの最後に、厚労省の担当官から個人的な意見だがと断った上で「戸籍上男性である者に男性ホルモンの治療を行うことに、何の不都合があるのかとは思う」と仰っていただきました。これ、本当に「普通」の感覚だと思います。
この件、いままでグレーゾーンなイメージでしたが、これですっきりしました。

とは言うものの、戸籍の性別変更を行っていれば必ず保険適用となるわけではありません。というのは、ホルモン療法が「性同一性障害」の治療のために行っているのであれば、保険適用外だからです。
そして、行っている治療が性同一性障害の治療のためなのか、性腺除去によるホルモン不足解消のための治療であるのかは、担当医師や審査支払機関の判断によります。医師が性腺除去によるホルモン不足解消のためとしても、審査支払機関でそれを認めない可能性もあり得ます。厚労省が「個別の判断があり得る」と言っているのはまさにこれです。
ですので100%保証ができるわけではありませんが、戸籍変更後のホルモン療法を自費診療とされている方がいらっしゃれば、まずは担当医と相談してみてください。

下記に主なホルモン製剤が薬事承認を得ている効能・効果について一覧にしてみました。
FTMの方が使っているエナルモンデポーは、「男子性腺機能不全」になるでしょう。
MTFの方は使っている薬剤が多く、それぞれに効能・効果が違うので注意が必要です。
プロギノンデポーであれば「卵巣欠落症状」か「更年期障害」、プレマリンであれば「卵巣欠落症状」「卵巣機能不全症」「更年期障害」、ジュリナであれば「更年期障害」でしょうか。
ただし、それぞれに用量が決まっていますので、それも注意が必要です。

   <主なホルモン製剤の薬事承認を得ている効能・効果>
薬剤名効能または効果
エナルモンデポー男子性腺機能不全(類宦官症)
造精機能障害による男子不妊症再生不良性貧血,骨髄線維症,腎性貧血
プロギノンデポー
ペラニンデポー
無月経、月経周期異常(稀発月経、多発月経)、月経量異常(過少月経、過多月経)、月経困難症、機能性子宮出血、子宮発育不全症、卵巣欠落症状、更年期障害、不妊症
プレマリン卵巣欠落症状、卵巣機能不全症、更年期障害、腟炎(老人、小児および非特異性)、機能性子宮出血
ジュリナ更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う下記症状
    血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)、腟萎縮症状
閉経後骨粗鬆症
このほかの薬剤に関しては、PMDA(医薬品医療機器総合機構)のHPなどをご参照ください。
| ran-yamamoto | 性同一性障害 | 00:58 | - | - |
性別の取扱いの変更後のホルモン療法に対する健康保険適用にNGが出る
某K県にある、この県でほぼ唯一ともいえる性同一性障害の患者を受け入れていただいているクリニックの院長から連絡を受けたのですが、このクリニックで治療されている戸籍変更後の当事者に対するホルモン療法について、従来保険診療で行っていたものを保険適用外とするという指導があったもようです。

このクリニックでは、病名を「卵巣機能不全」「男子性腺機能不全」などとして申請していたのですが、クリニックの規模にしては患者が多すぎるということで査察が入たようです。それで性同一性障害の人の戸籍変更後の治療だったということがわかったのですが、今年3月末に厚労省から出された通知でホルモン療法が保険適用外であることが明確になったということが理由となり、今後はNGとされたようです。

従来、性同一性障害特例法による戸籍の性別の取扱いの変更後のホルモン療法に関しては健康保険がほぼ適用されてきました。
しかし実はこれ、実は昨年8月の厚労省とのミーティングでも話題に出たのですが、実は明確な回答がないままうやむやになっていました。ただ、少なくとも黙認されてきたはずです。

性同一性障害として治療を始めたとしても、戸籍の変更まで終了すると、その当人の性同一性は、身体的にも精神的にも社会生活上も法的にも確立され、性同一性障害はこの時点で治癒あるいは寛解したと考えられます。
しかし、性別適合手術により性腺を除去している状況にあるため、そのままではホルモン不足に陥ります。それを補充するためにはホルモン充填療法が必要になります。
性ホルモンは人が生きていく上では必須のものです。これが不足すると更年期障害や骨粗鬆症など様々な悪影響が出ることが知られています。
つまり、性別適合手術後のホルモン療法は、性同一性障害ための治療ではなくホルモン不足を解消するための手段ということになり、その目的が変わります。
そして、性ホルモンは戸籍が男性であればアンドロゲン、戸籍が女性であればエストロゲンとなります。

このように、戸籍変更後のホルモン療法は性同一性障害の治療ではなくホルモン不足を補う治療であるという前提であれば、何の問題も無いはずですし、病名の「卵巣機能不全」「男子性腺機能不全」というのも間違いというわけでもありません。

いずれにせよ、非常に影響の大きな問題と言えるでしょう。同様の動きが他府県に広がる可能性も危惧されます。
まずは、来週早々にでも厚労省に連絡をとって経緯を説明し、対応を考えなければなりません。
| ran-yamamoto | 性同一性障害 | 23:12 | - | - |
医療機関別性同一性障害の手術療法数調査
昨日の記事で新たに3施設が認定されたことを書きましたが、現在日本でどれくらいの数の手術が行われているか正確には把握できていません。
ただ、戸籍の性別の取扱いの変更者数が年間900名(2017年実績)であることと、精神科での聞き取り調査などからおよそ4割程度が国内であると考えられていることから、年間360名程度ではないかと推計されています。

さて、それではこの内認定医療機関でどれくらいの手術が行われているかなのですが、下記に昨年調査した内容を公開しておきます。この調査は、健康保険適用の申請の際に、各医療機関に協力をお願いして実施したものです。
ちょっと物議を醸しそうだったこともあって公開を控えていましたが、無事に健康保険も適用になったし認定医療機関も増えてきているのでもう良いでしょう。
乳房切除術は、おそらく民間のクリニックでもっと行われているはずですが、そこまでは調査しきれていません。

数字の中身についてはここではコメントは控えます。が、認定医療機関にはもっともっと頑張っていただきたいものです。

医療機関別SRS数調査
| ran-yamamoto | 性同一性障害 | 06:54 | - | - |
新たに3施設が認定
性同一性障害の手術療法が健康保険適用になるためには、GID学会が認定した施設で手術しなければならないのですが、このたび3つの病院が指定されることになり、合計6施設となったようです。
4月20日現在、認定医療機関は下記になります。

・札幌医科大学附属病院(北海道)
・山梨大学医学部附属病院(山梨県)
・名古屋大学医学部附属病院(愛知県)
・岡山大学病院(岡山県)
・光生病院(岡山県)
・沖縄県立中部病院(沖縄県)

札幌医科大学附属病院は3月の時点でまだ認定されておらず、何故?と思いましたが単に申請が遅れていただけのようです。
一時は「ホルモン療法が保険適用されるまで申請しないつもりか」などという憶測も飛んでいたのですが、ガセで良かったです。
上記の内、光生病院は岡山大学の難波先生が非常勤を務めていらっしゃる病院で、現在は乳房切除術だけを行っているようです。
名古屋大学医学部附属病院はまだ実績がありませんが、泌尿器科の松尾先生が札幌医科大で研鑽を積まれたとのことなのでこれから頑張っていただきたいものです。

それにしても、上記リストに関東圏や関西圏といった大都市圏の医療機関が全く含まれていないのはなんともです。
埼玉医科大、大阪医科大、関西医科大など過去に実績のあった病院には、ぜひ再開をお願いしたいところです。
とはいえ、この他にもいくつかの医療機関で開始したい意向も伝わってきています。
医療機関の少なさは、健康保険が適用医なれば徐々に広がっていくと考えていましたが、少しずつですが思惑どおりに進んでいるようです。今後に期待というところでしょうか。
一刻も早くホルモン療法を健康保険適用にして、この流れを加速させたいものです。
| ran-yamamoto | 性同一性障害 | 06:28 | - | - |
LGBT議連総会
LGBT議連

国会でLGBT議連の総会が開催されましたので参加してきました。

今回は、GID学会理事長の中塚先生による性同一性障害治療の健康保険適用と特例法改正についての講演が中心でした。
参加されている議員は10名ほどで少々寂しい感じです。

健康保険に関しては、ホルモン療法が未適用であるためせっかく手術療法が保険適用になっても利用できる人はごく限られるという話が強調されていましたので、議員のみなさんにもホルモン療法保険適用の早期実現が必要という認識が周知されたのではないでしょうか。

特例法改正については「現に未成年の子がいないこと」の削除や「手術要件」について話が出ましたが、こちらも議論はこれからというところです。

LGBT議連ては一部LGBT差別禁止法(差別解消法)を目指す動きもあるようですが、これは自民党が反対の立場をとっているのでなかなか難しいでしょう。
それよりも、まずは性同一性障害に関するホルモン療法適用や特例法改正の方が話が早いと思うので、議連として実績を上げる意味でもぜひこちらを優先的に取り上げていただきたいものです。
| ran-yamamoto | 政治 | 23:27 | - | - |
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