2017.09.10 Sunday
被保険者証の氏名表記について
厚生労働省が健康保険の被保険者証の氏名表記につき、通称名表記を可能とする通知を出しています。
通知書を入手致しましたので、ここに公開しておきます。
http://rany.jp/document/government/mhlw-2017-08-31.pdf
この通知で、被保険者証に通称名を記載することが可能となりました。
ただ、いくつか問題があります。
まずは、「保険者やむ得ないと判断た場合 名の記載を希望する旨申し出があり、保険者やむ得ないと判断た場合には、被保険者証における氏名の表記方法を工夫しても差し支えない。」の部分。
ここで言う保険者とは、被保険者証を発行している元のことです。国民健康保険だと市区町村ですし、企業だと協会けんぽとか保険組合がこれにあたります。
通称名使用はこの保険者がそれを行うかどうかを判断することになっています。つまり、保険者がダメと言えば変更できないことになるわけです。
実は、この通称名の前にも、性別欄を裏面記載にできるという通知がありました。これも同様に保険者の判断に任されていたのですが、実際裏面記載を実施している保険者は多くありません。
このあたり、厚生労働省と会談をもった際に強制できないのかと問うたのですが、そうした権限は無いそうです。
次に「裏面を含む被保険者証 全体として、戸籍上の氏名を確認できるようにすること。」の部分。
結局戸籍名をどこかに書くのであれば、GID当事者の精神的負担軽減に本当になるのか自体が何とも言えません。被保険者証みるだけで性同一性障害の当事者であることがバレバレになってしまう恐れもあるわけです。
それに戸籍名を裏面に書くとしても、そのようなスペースがあるのかという問題があります。複数ページになっているようなタイプだと可能でしょうが、カード型だと難しいですね。特にプラスティックカードだと、何か書くことを想定していないものもあります。
そうなるとカードの素材変更とかシステムの改修とか大がかりな話になってしまいます。保険者によっては物理的あるいは改修の時間的・金銭的にすぐには対応できないと言わてしまうこともありそうです。
さらに、性同一性障害としての診断書が必要なのは当然として、「通称名が社会生活上日常的に用いられていることを確認できる添付書類」も求めています。なので、通称名使用の実績の無い人はすぐには無理です。
これ、もうほぼ改名の時に必要な手続きと同様ですよね。それなら裏面に戸籍名記載とかややこしいことをされずに済む改名手続きをしてしまった方が良いのではないかとすら思えてきます。
とはいえ、厚生労働省としてもこのあたりが精一杯の妥協点でしょうか。まぁ、戸籍の性別・氏名一辺倒だった頃からに比べれば、対応がかなり進んだとも言えます。
何より、性同一性障害についていろいろな問題があり、国として対応が必要であると認識していることは評価できるのではないかと思いますし、こうした対応が更に拡大していくことを望みます。
ところで、この通知でちょっとびっくりしたのは診療報酬請求は戸籍上の氏名では無く「表面に記載された氏名で行う」となっていること。つまり表面に記載されている氏名が通称名であればそれで行うということです。
今まで行政は「住民基本台帳に記載されている氏名・性別との一体運用が必要」という立場だったのですが、それが崩れたことになります。
なんだ、やればれきるんだ。それなら性別欄だってできるでしょうし、戸籍上の氏名や性別を書く必要もないんじゃないかと思えます。
これは、今後のいろいろな要望に使えそうです。次回厚労省官僚と会談する際には、この点をつっこんでみたいと思います。
通知書を入手致しましたので、ここに公開しておきます。
http://rany.jp/document/government/mhlw-2017-08-31.pdf
この通知で、被保険者証に通称名を記載することが可能となりました。
ただ、いくつか問題があります。
まずは、「保険者やむ得ないと判断た場合 名の記載を希望する旨申し出があり、保険者やむ得ないと判断た場合には、被保険者証における氏名の表記方法を工夫しても差し支えない。」の部分。
ここで言う保険者とは、被保険者証を発行している元のことです。国民健康保険だと市区町村ですし、企業だと協会けんぽとか保険組合がこれにあたります。
通称名使用はこの保険者がそれを行うかどうかを判断することになっています。つまり、保険者がダメと言えば変更できないことになるわけです。
実は、この通称名の前にも、性別欄を裏面記載にできるという通知がありました。これも同様に保険者の判断に任されていたのですが、実際裏面記載を実施している保険者は多くありません。
このあたり、厚生労働省と会談をもった際に強制できないのかと問うたのですが、そうした権限は無いそうです。
次に「裏面を含む被保険者証 全体として、戸籍上の氏名を確認できるようにすること。」の部分。
結局戸籍名をどこかに書くのであれば、GID当事者の精神的負担軽減に本当になるのか自体が何とも言えません。被保険者証みるだけで性同一性障害の当事者であることがバレバレになってしまう恐れもあるわけです。
それに戸籍名を裏面に書くとしても、そのようなスペースがあるのかという問題があります。複数ページになっているようなタイプだと可能でしょうが、カード型だと難しいですね。特にプラスティックカードだと、何か書くことを想定していないものもあります。
そうなるとカードの素材変更とかシステムの改修とか大がかりな話になってしまいます。保険者によっては物理的あるいは改修の時間的・金銭的にすぐには対応できないと言わてしまうこともありそうです。
さらに、性同一性障害としての診断書が必要なのは当然として、「通称名が社会生活上日常的に用いられていることを確認できる添付書類」も求めています。なので、通称名使用の実績の無い人はすぐには無理です。
これ、もうほぼ改名の時に必要な手続きと同様ですよね。それなら裏面に戸籍名記載とかややこしいことをされずに済む改名手続きをしてしまった方が良いのではないかとすら思えてきます。
とはいえ、厚生労働省としてもこのあたりが精一杯の妥協点でしょうか。まぁ、戸籍の性別・氏名一辺倒だった頃からに比べれば、対応がかなり進んだとも言えます。
何より、性同一性障害についていろいろな問題があり、国として対応が必要であると認識していることは評価できるのではないかと思いますし、こうした対応が更に拡大していくことを望みます。
ところで、この通知でちょっとびっくりしたのは診療報酬請求は戸籍上の氏名では無く「表面に記載された氏名で行う」となっていること。つまり表面に記載されている氏名が通称名であればそれで行うということです。
今まで行政は「住民基本台帳に記載されている氏名・性別との一体運用が必要」という立場だったのですが、それが崩れたことになります。
なんだ、やればれきるんだ。それなら性別欄だってできるでしょうし、戸籍上の氏名や性別を書く必要もないんじゃないかと思えます。
これは、今後のいろいろな要望に使えそうです。次回厚労省官僚と会談する際には、この点をつっこんでみたいと思います。